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理事長
鈴木 一雄(すずき かずお)
■ご挨拶

 平素は当研究所の活動に対し格別のご支援ご鞭撻を賜り、心より厚くお礼申し上げます。

 さて、戦後7 0 年の節目となった昨年を振り返ってみますと、安全保障関連法案の可決や日中韓首脳会談の開催、TPP大筋合意など歴史的な出来事が相次ぎ、改めて日本が世界とどのようにつながるかを考えさせられた年となりました。また産業面では、円安基調が続く中で、アジアをはじめとした訪日観光客が急増したことで、我が国経済における“観光”の重要性を再認識しました。さらには、人口減少や少子高齢化、首都圏への一極集中という構造的課題が顕在化する中で、国が掲げた「地方創生」に向け、各自治体が地方人口ビジョン・地方版総合戦略の策定を進めるなど、改めて地方にスポットが当てられた年であったともいえます。

 景気についてみますと、年前半は2 0 1 4 年の消費増税の影響が薄れる中、賃上げなどによる所得環境の好転を受け、個人消費やレジャー需要に回復の兆しがみられました。しかし後半には、中国経済の減速が鮮明になるとともに、欧州では移民問題に加えフランスで同時多発テロが発生するなど海外情勢が急速に不透明化したことで、我が国経済を下支えしている外需に陰りが見え、個人消費を中心とした内需も勢いを欠いたまま、年を越えることになりました。

 2 0 1 6 年を展望してみますと、引き続き雇用・所得環境の改善が見込まれ、個人消費、および商業・サービス関連は比較的底堅く推移しそうです。また、翌2 0 1 7 年4月に予定される消費再増税を受けて、住宅関連における駆け込み需要が顕在化し、景気の下支え要因になるとみられます。一方、生産面では、食品など内需主体の製造業は前年並みで推移する見通しですが、海外経済の影響を受けやすい自動車や電機といった加工組立型製造業では、中国の変調や欧州の混乱が速やかに収束するとは見込みにくく、市場動向をこれまで以上に注視していく必要がありそうです。

 このように内外環境が大きく変わる時代には、行政・民間とも、その潮流をしっかりと見極め、柔軟に対応していくことが求められます。人口の社会減少や主力であるモノづくり産業の停滞など多くの構造的課題に直面する中、本県がこうした課題を克服して“課題解決先進県”へと進化するためには何が求められるのか、産業、経営、地域という3つの視点から実証的な調査研究を進めていきたいと考えております。



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