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平成の歳月とともに歩んだ"消費税"

平成最後の"年の瀬"を迎える。お歳暮、クリスマス、正月準備と、年末商戦の書き入れ時であり、いまだ回復力が弱いと言われる個人消費の盛り上がりが期待される。幸い、今冬のボーナスは高めの支給が予想されており、力強い消費につながって欲しい。しかし一方で、来年の経済に目を移すと、10月には消費税率が8%から10%へと引き上げられる予定であり、過去にも消費増税は消費の抑制要因となってきたことから、景気の下押しにつながることが懸念される。
平成の30年間を振り返ると、消費税はまさに平成がスタートした元年4月に税率3%で導入された。自動車取得税や酒税、たばこ税、料理飲食税など、それまでにも個別に消費時点でかかる税はあったが、消費全般に広くかかる本格的な税は、日本では初めてであった。そして、消費税の導入時と税率引き上げ時、その都度、個人消費を大きく左右し、政治をも大きく左右した。
平成元年の導入後は、一時、税率7%の「国民福祉税」構想(直後に撤回)もあったが、8年後の平成9年4月に税率5%に引き上げられ、5%が17年間続いたのち、平成26年に現在の税率8%に引き上げられた。以降は、27年10月に税率10%に引き上げる予定であったが景気の低迷により29年4月に1年半延期、さらにデフレ脱却が遠のいてしまうという将来へのリスク回避から2年半再延期された。そして来年10月から、いよいよ税率が10%となる。
これまでの導入時・引き上げ時に見られた消費への影響は、導入前の駆け込み需要(需要の先食い)と導入後の反動減から来る大きな景気の振れ、実質的な購買力の低下や、その後の実感の乏しい景気回復から来る消費者の節約志向といった個人消費の縮小であった。バブルの頂点(平成元年・日経平均株価史上最高値3万8,915円)で導入され、バブル崩壊、失われた10年、20年とも言われる経済の長期低迷、リーマン・ショック、東日本大震災など、日本経済にアゲンストの風が吹く中で絶えず税率引き上げのタイミングが議論されてきた消費税であった。
しかし、導入当初は馴染めなかった消費税も、30年の歳月の中で定着してきたように感じる。消費税がわずか30年の歴史の税制であることを知らない若者も多い。あとは消費するたびに感じる負担感の軽減だが、それには実質的な所得の増加とともに、厳しい日本の財政状況の中における増税の必要性についての丁寧な説明と、消費税が有効に社会で機能していることの"見える化"が必要ではないだろうか。消費税の用途は年金・医療・介護といった社会保障の充実に、幼児教育無償化など子ども・子育て支援といった少子化対策、将来の人づくりが加わった。
今後、軽減税率や消費現場での具体的な取扱いが議論されるが、平成の30年間にわたる消費税との格闘が、新たな時代の基盤づくりへとつながっていくことを願う。

投稿者:常務理事 大石人士|投稿日:2018年12月03日|

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