中小企業の事業承継問題を探る
– 県内企業における事業承継の実態アンケート調査結果 –
<要旨>
■ 2017年は団塊世代の経営者層が70歳に達し始めるなど、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えている。そこで、県内中小企業の経営者にアンケートを実施し、事業承継の課題や今後の対応方針を探った結果、小規模企業を中心に全体の約4割で後継者が決まっておらず、そのうちの6割強が「適当な後継者が見つからない」などの理由で後継者難に直面している実態が明らかになった。
【後継者決定済の企業】-全体の6割が親族を中心に後継者を決定、身内で後継者探し
・全体の61.0%で「後継者が決まっている」と回答。後継者を決定する際には「親族」であることが重視されており、実際に7割以上で「親族」が後継者として選ばれている。
・後継者の選定においては、8割以上が身内だけで後継者を決定しており、外部機関が有効に活用されていない現状が浮かび上がった。
【後継者未決定の企業】-3社に1社で候補が存在せず、将来、廃業・売却を考える経営者も
・後継者が決まっていない企業のうち、3社に1社で後継者候補が見つかっておらず、業種別では非製造業よりも製造業で、規模別では規模の小さい企業ほど、後継者探しに苦心している。
・また、後継者候補が見当たらない企業のうち、3割の企業経営者が現時点で「廃業」「事業売却」を考えるなど、後継者がいないことを理由に事業を断念せざるを得ないと判断している経営者もいる。