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LABORATORY INFORMATION研究所のご案内

理事長挨拶

理事長  馬瀬 和人

新年のご挨拶

 
 

 皆様におかれましては、健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。旧年中は静岡経済研究所の活動に対し、格別のご支援とご高配をたまわり、心より御礼申し上げます。

 昨年を振り返りますと、年間を通して消費者物価が前年を2%上回る中、2月には日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新し、3月には日銀が2007年以来の利上げ(マイナス金利政策解除)を実施、そして、春闘賃上げ率も33年ぶりの高水準を記録するなど、長年にわたり日本が悩まされてきたデフレ経済からの脱却に向けて、着実に地歩を固めた一年であったと言えるでしょう。

 
 
ただし、酷暑などの天候不順とも相まって、野菜や米といった生活に欠かせない食材の価格高騰によって国民の節約志向が強まったこともあり、「賃金と物価の好循環」の実現にまでは至らず、景気の本格回復に向けては力強さに欠ける状況が続きました。また、政治面でも、我が国の衆院選で連立与党が過半数割れとなり、米国の大統領選でトランプ氏が復活当選したほか、隣国の韓国や欧州、中東など、世界各地で混迷が深まったままの年越しを余儀なくされました。

 静岡県においても、当研究所が実施した各種調査によると、年の前半こそ株高や賃上げ、岸田政権下で実施された定額減税に呼応する形で景気回復への期待感が高かったものの、夏場以降は諸物価の高騰や人手不足を背景に景況感が下振れし、やや足踏みに近い状態で推移する結果となりました。

 
 さて、今年の景気の行方ですが、今の世界情勢の閉塞感等を踏まえると、回復軌道を描いたとしても、上振れ幅は緩やかな水準にとどまるものと予想しています。

 こうした中、気になる予兆があります。それは、人手不足に起因して、経済活動の至るところで目詰まり=「供給制約」が起き始めていることです。多くの企業が賃上げを実施するなど人材確保に躍起になっていますが、それでも小売業や飲食業では営業時間短縮に追い込まれたり、建設業や情報サービス業では受注を断念せざるを得ないといった事象が出始めており、最悪、人手不足倒産に至るケースも見受けられます。

 わが国にとって今後、少子化の急速な進行で人材難がますます深刻化していくことは、もはや覆すことのできない既定路線です。企業経営にあっては、それを克服すべく生産性の向上や、成長分野への人的資源の再配分とそれに必要なリスキリング、物流業界で見られるような非競争分野での他社との協業・アウトソーシングなどに早急に着手する必要があります。

 
 今年は「乙巳(きのとみ)」の巳年です。「乙」はしなやかに伸びる草木を表し、「巳」は脱皮し強く成長する蛇のイメージから「不老長寿」を象徴しています。この文字の組み合わせは、「努力を重ね、物事を安定させていく」という縁起の良さを表していることから、世界の安寧を願いつつ、2025年が皆さまにとって蛇のごとく一皮剥けて飛躍の年となりますことを祈念しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

一般財団法人 静岡経済研究所
理事長  馬瀬 和人