県内サービス産業のIT活用実態
「静岡県内サービス業におけるIT活用の実態」アンケート調査結果
■”ポスト・モノづくり”産業として注目されるサービス産業。国の「日本再興戦略」の重要プロジェクトに盛り込まれるほど、生産性の向上が喫緊の課題となっている。その解決ツールとして、改めて関心を集めているIT(情報技術)の活用について、県内サービス事業者の実態を探った。
■県内サービス事業者の8割はIT活用の必要性を認識しており、「業務の改善・効率化」「社内の情報共有・活用」では6割が効果を実感(大いに:4割、やや:2割)しているものの、業績に直結する「営業力・サービス力の強化に関する活用」については5割台、うち大いに効果を感じる事業者は2割にとどまる。また、業種別でみると、”情報通信””金融・保険”で活用度が高い一方、”不動産””生活関連サービス”では低く、サービス産業の中でもIT活用レベルは二極化している。
■業績とIT活用の関係に着目すると、売上が増加している事業者はITを効果的に活用している割合が高く、サービスの品質や企画力、提案力の強化にITを上手く使っている様子がうかがえる。また、”飲食・宿泊業”や”医療・福祉・介護”など人手不足が顕著な業種ほど、ITを活用した省力化等に取り組む動きが鈍いことが懸念される。
■ITの進化に伴い応用分野が広がっており、「IoT」や「ビッグデータ分析」に関心を持つ事業者が多い。また、ITに関連するデジタル機器や活用分野では、「ドローン」「遠隔操作・制御」への関心が高い一方、現状では、活用シーンが見えづらい「VR(バーチャルリアリティ)」や「AI(人工知能)」への関心はやや低いという実態が浮かび上がった。
■ IT導入・活用のハードルは下がっており、”小さく生んで大きく育てる”という発想のもと、ITを積極的に取り入れトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、”稼ぐ力”を高めていくことが県内サービス事業者に望まれる。とりわけ、生産性向上の余地が大きい中小事業者では、経営トップがIT活用を経営戦略の最重要課題の1つと捉え、実践することで、本県サービス産業の競争力が高まることを期待したい。