富士山「世界文化遺産」の登録効果を検証
■6月に富士山が世界文化遺産に登録されたが、7―8月の富士山周辺の集客施設の利用者数をみると、前年を上回った施設は3割強にとどまり、前年並みが約4割と“世界遺産効果”は限定的だった。
■静岡県側の富士山周辺の観光客による経済波及効果は、世界文化遺産登録により+61億円増加し、1,952億円と推計された。また、地域の誇りや日本の象徴として、富士山という存在は静岡・山梨両県民、さらには国民から高く評価されており、潜在的な“景観価値”は+104億円と、非経済的な効果も大きい。
■今後の富士山への対応については、環境保全を最優先の課題としながら、構成資産の情報発信や冬季の景観需要創出、富士山関連商品のマーケティングなど、世界文化遺産登録によりブランド価値の高まった富士山を積極的に活用する工夫が望まれ、環境保全と観光振興の両立が求められる。